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暮らしの手帖30号からの言葉

いくつかの詩が気に入ったので残しておく。

一つ目。大野直子さんの詩集「寡黙な家 ヒグレテタドルハ」より「味噌汁」。

味噌汁をおいしくするコツは
おたまにひとすくい
夕焼けをいれること
味噌の雲がもくもく湧いて
ネギの葦原が波立って
シジミが青いため息をつく
お鍋はたちまちシジミの棲んでいた
夕暮れの汽水湖
仕上げに
今日いちにちの苦笑いを押し込めて、蓋
へへへへへ と 立ちのぼる
湯気といっしょによそいます

もう一つ。茨木のり子「汲む」より。

大人になってもどぎまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 醜く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子供の悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外にむかってひらかれるのこそ難しい
あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと……

暮らしのヒント集から。

さみしさや切なさはいいものです。それは向き合ったり、たたかうものではなく、抱きしめてあげましょう。

八木重吉「果物」より。

秋になると
果物はなにもかも忘れてしまって
うっとりと実ってゆくらしい

暮しの手帖 2007年 10月号 [雑誌]
暮しの手帖社
おすすめ度の平均: 5.0

5 忙しい時にこそ読みたい本
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【参考書籍】

コメント:8

シノブ 08-10-21 (火) 15:35

「汲む」がいいなあ、

と思っていたら、

「果物」の
“なにもかも忘れてしまってうっとりと実ってゆく”
に、やられました。

うっとりと実る…いいですね。

こねこ 08-10-21 (火) 22:07

茨木のりこさんの詩は「3年B組金八先生」で、はじめて知りました。
「生牡蠣のような感受性」って絶対思いつかないけど、聞いたら「頼りなさ」がすごくよくわかる。

そら 08-10-22 (水) 0:15

シノブさん>

いいでしょう。
暮らしの手帖編集長の松浦弥太郎氏が紹介されていた詩なのですが
果物がうっとりと実っていく様子を想像したら
ぞくりとしました。
言葉選びが秀逸すぎです。

そら 08-10-22 (水) 0:16

こねこさん>

金八先生が朗読したとかですか?
私は名前は聞いたことがあったんですが
恥ずかしながら今まで読んだことがなかったです。

そう、その部分、私も「おお!」と思いました。

こねこ 08-10-23 (木) 1:36

私 かなり「金八先生」好きで、毎回かなり重いテーマ展開ですが、友情やら熱い先生の気持ちやらに、そのつどウルウルしてます。

前回のシリーズのテーマは「父と子(特に息子)」のように感じました。

国語の授業やHRの中で、茨木のりこさんの詩をいくつも紹介していました。
多感な、いろんな悩みを抱えている子供たちに
もっと「感じなさい」「考えなさい」と伝えていたような。

「考えろ」は伊坂さんもだ。
あんまり何も考えてないなぁ、私。

そら 08-10-24 (金) 10:31

実は私「金八先生」見たことがないんですよ。
そういえば、中学や高校の授業で習った詩って
なんとなく覚えてるものですよね。
普段は隠れているのに、ふとした拍子に
浮かび上がってくる言葉たち。

私は逆に「考えすぎ」と言われます(笑)

こねこ 08-10-24 (金) 22:38

そんな身体張って家族放って生徒のこと考える教師ってねぇ(笑)

でも性同一性障害もドラッグも給食費未納もモンスターペアレンツも裏サイトも全部
社会問題になる少し前に、シリーズのテーマとして扱っていて
そんな事はめったにないよ~なんて思っていたら現実に…。

金八先生が国語の教師なので詩がよく引用されます。
相田みつを 谷川俊太郎 長田弘 茨木のりこ
確かに学生時代の言葉の断片って、突然なんの脈絡もなく うかんできますね。
今は覚える前に、忘れちゃうの (><)

そら 08-10-26 (日) 2:40

家族の理解もないと続けられないでしょうね。
あ、そうなんですかー。
それは先見の明があるというか、ある意味ではそういった問題は昔からあったのかもしれませんね。
私たちには見えていなかっただけで。

金八先生って国語の先生だったんですか!
担任教師というイメージで
何かの担当だったとは知りませんでした。それでかー。なるほど。

昔は、水が綿に吸い込むように入ってきたので
そういうのは忘れないのかもしれませんね。
今はプラスチックのように、表面をつるーっと…。うう。

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