本が好き!

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 光文社が出している「本が好き!」という読み物をもらった。表紙デザインは、闇夜のサーカス団みたいで、奇妙で、惹かれる。

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 その中に、野中柊(のなかひいらぎ、のなかひいらぎ、ひいらぎのなか…、どこかで耳にした記憶があるんだけれど、どこだったっけ。何が気になったんだっけ。忘れてしまった。)の連載小説があって、初めて彼女の文章を読んだのだけれど、悪くない一節を見つけた。

 以下。

「私ね、だれにでも優しくするわけじゃないけど、鈴子には特別」
「どうして?」
「私は鈴子のことが好きだから」
「うん」
「おまけに、鈴子が私のことを好きなことも知ってるから」
「うん」
 私たちは互いの目を見て、微笑み合った。言わなくてもわかっていることを、でも、言いたくなるとき。言ってほしくなるとき。男の子との恋愛関係においてはよくあることだけれど、女の子同士の友情においても、そういう瞬間が訪れることがある。そして、今がそのときだった。
 …中略…
 彼女の存在を抱きしめて、ありがとう、と百回言っても足りない感じ。私が男の子だったなら、きっと彼女に恋をするだろう。なにがなんでも、幸せにしようと頑張るだろう。

 私はさ、言わなくても伝わる、というのも限られた一部のシチュエーションにおいては確かにあると思う。だけど、本来は伝わらないってことをちゃんと知っておくべきなんだよね。

 昔、私はその見えないものを愚かにも盲目的に信じ込んでいたことがあって、大切な事を大切な人に伝えなかった。私はそのことを後悔している。ねぇ、言わなくても伝わるなんて、ほとんどは幻想だよ。言わなくちゃわからないよ、やっぱり。言葉をいくら紡いでも、継ぎ足しても、伝わらないのに、何も言わないで伝わるなんて嘘だ。

 それが嘘っぽくきこえるか、その人の真芯に届くかどうかは、言葉じゃないところの問題なだけ。

 

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